お盆は台風の影響が怖いものとなりましたね、管理人のジョーです。皆さん、いかがお過ごしですか?
お待たせしました、今回は前回より告知していた昆虫食についての記事を載せていきます。

・昆虫を食べるって?~はじめに~
以前に昆虫食について少しお話したかと思います。今日我々がおかれている環境というのは刻々と変化して
います。その中で、昆虫は新たな食糧産業の役割を担うこととが期待されています。
2013年にFAOが発表したEdible Insects:Future Prospects for Foodand Feed Security によると、昆虫はおよそ
20億の人口に伝統ある食文化として構成しており、1900種類が食用利用されているとあります。
このように昆虫食は世界各国にて広く利用されているということです。
では、昆虫食というのはどんなものでしょうか?そもそも昆虫を食べることは衛生面で納得のいくものなので
しょうか?そして、昆虫を新たな資源にする必要性を今見出さなければいけないのでしょうか?
そんな疑問を一緒に紐解いていきましょう。

・昆虫を食べるって?~食文化の在り方~
アフリカのブッシュマンは昆虫を食べることを代々子どもに継承します。
ラオスやマレーシアの屋台にはピリ辛の味付けされたバッタやタガメなどの昆虫が並びます。
日本でもイナゴの佃煮、ザザムシ、ハチの子など内陸沿岸問わず文化が残ります。
これらの食文化は昆虫食そのものがおかしなことではなく、理にかなったことであるといえます。
では、世界で見ると昆虫食はどのような場所で何が食されているのでしょうか。
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上記の画像は山口県立大学の新井,東野先生方の「昆虫と食文化」pdfのものです。
梅谷先生らの報告の改変であったかと思いますが、これは世界各地で食されている昆虫の仲間を一覧化
させたものです。この図を見ると大凡の食虫伝統はアジア・アフリカに固まっていることが分かります。
アフリカ圏での川虫があまりないのは採集が効率的でないのと他の昆虫が多くいるためでしょう。
日本も多くの種類が食されているのが分かりますね。一方、欧州ではその文化そのものが広くなく目数も
伸びません。これは、ヨーロッパ諸国では昆虫を食べるということに抵抗がある表れでもあります。

・昆虫を食べるって?~栄養の可能性を問う~
今日我々は様々な食物の恩恵を受けて暮らしています。街中で食べるステーキ、廻る回転寿司、バイキング
にあるサラダバー、オレンジジュースや練乳イチゴ・・・。それらの食物は必ず原材料があり加工の中で味や
香りをつけて口に運ばれます。よく子どもの頃に給食でタンパク質やビタミン、脂質やカルシウムなどが載って
いました。
そんな、栄養素ですが昆虫にはそれ相応のエネルギーがあるのでしょうか。気になるところです。
論文の中でよくあるのが、食肉の家畜類と比べると個体あたりのタンパク質などの栄養源が比較的高い
とあります。ハチの幼虫は炭水化物、ミネラルやビタミン、脂質も多く、よく食用で使われます。
しかし、こういった研究には一部で言われている、そのようであるなどの疑問符を残したまま一種の~だろう。
という認識もあるため、正確な栄養含有量は異なってきます。
現に、ハチといってもスズメバチの仲間とミツバチではどうなのか。種と種でどれ程の栄養素で平均値が
違うのか。その前に家畜は飼料に依存する部分も多く、昆虫の場合では飼料による変化はどうかがネックに
なるでしょうね。
とある研究者が発表した論文で直翅目での栄養素の含有量を調べたものがありました。
幼虫時や成虫時、さらには卵鞘での値を%で示したのです。これはいい論文ですが、ここでも疑問が残ります。
それは健康的なものか?或いは、養殖場での植生、オールシーズンでの数値なのか。
昆虫を食べるということはよく議論され、それを持続可能なものにするにはという意見交換も随分と多く
なり成果を出しつつあります。しかし、それでも上記のような懐疑的見地があり、これを数字で見たり実践
するには困難を極めると考えます。
昆虫は一般に言われるよりも、栄養素のエネルギー量は高い。ただ、種間での数値変化や目での含有量
の変化もあり、確実性はまだ分からない。こんなところでしょうね。

・昆虫を食べるって?~認識の中での捉え方~
多くの人が昆虫=食べると聞くと嫌な顔をするかもしれません。ですが、アフリカや東南アジアではもてなしや
振舞いで頂くこともあります。この違いはどこから来るのでしょうか。
理由は単純明快で、小さいうちからその行為をしてきたのかです。日本でいくと長野県の伊那地方が有名
ですね。ここは内陸で山々に囲まれた地域です。冬は豪雪となるわけです。その中で貴重なタンパク源と
なったのがザザムシなどの川虫やハチの幼虫などです。生きる為に食事として行ってきたわけです。
よく戦時中は食べるものがなくてバッタも食べたという話がありますが、あれも昆虫食です。
現在は、コンビニエンスストアや外食産業が軒を連ねて飽食の時代です。食べるものがなければ昆虫を
食べるのかというとそうではないでしょう。
どれ程の人間が感じているかは分かりませんが、虫を食べるのはゲテモノ食いだと思うこともあるでしょう。
認識の違いが昆虫一つをとっても大きな価値観を生むわけです。少し前のヨーロッパもそういう認識が
多かったようですが、今やフランスなどに昆虫食専門バーもありますからね。

・昆虫を食べるって?~おわりに~
ここまで昆虫食の具体的な話とあらゆる考えよりアプローチを行ってきました。
将来、世界の人口は増加の一途を辿るわけですが、家畜生産では限界が生じます。
その中での昆虫利用は非常に注目されています。食糧機関やメディア、学者や料理人など人々の関心が
一昔前より遥かに高まっているんです。
ただのゲテモノ、奇妙ではなく国際的な見解を持つことも面白いものです。このような話題は昆虫学にも
重要で、ひいては文化人類学、生産学の分野にも関係するものになります。

今まで昆虫の記事を色々書いてきましたが今回は少し難しい内容だったかと思います。
では、この辺で区切りましょうかね。また次回、昆虫の話でお会いしましょう。
画像はRhynchophorus ferrugineusなので、ヤシオオオサゾウムシです。
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